Claude・ChatGPT・Codexのオーケストレーション比較
同じ「複数エージェントを使う」機能でも、利用者が制御できる範囲はサービスごとに異なります。チャット画面では成果と調査範囲を指示し、コーディングエージェントでは子エージェントのモデル、権限、配置ファイルまで定義できます。この違いを理解すると、設定できない機能を前提にした設計を避けられます。
サービスごとに異なるオーケストレーションの制御範囲
制御範囲とは、利用者が「仕事の分け方、子エージェントの役割、モデル、権限、実行環境」のどこまでを指定できるかです。Claude ChatやCoworkでは自然言語の依頼が中心です。Claude CodeとCodexでは、リポジトリ内のファイルへ役割や制約を保存し、チームで再利用できます。
このページで学べること
- Claude Chat、Cowork、Claude Codeのオーケストレーションの違いを説明できる
- ChatGPT WorkとCodexでサブエージェントを使う方法の違いを判断できる
- 調査、成果物作成、ソフトウェア開発のどの利用形態を選ぶか決められる
- 公式機能と、利用者が設計する運用パターンを区別できる
比較するときは、サブエージェントの有無だけでなく、役割とモデルを固定できるか、作業履歴を確認できるか、ファイルを編集できるかを見ます。
| 利用形態 | 主な対象 | オーケストレーションの単位 | 利用者が直接指定しやすいもの | 主な制約 |
|---|---|---|---|---|
| Claude Chat / Research | 質問、分析、調査 | 1つの会話とResearch内部の調査 | 問い、調査範囲、接続先、出力形式 | 子ごとの設定ファイルを利用者が管理する形ではない |
| Claude Cowork | 文書、表計算、ファイル整理、長時間の知識作業 | 計画、サブタスク、並列作業、成果物 | 完成条件、対象ファイル、利用ツール、承認条件 | 子ごとのモデル構成より、成果と権限の指定が中心 |
| Claude Code | ソフトウェア開発、リポジトリ作業 | メイン会話、subagents、Agent Teams | agent定義、model、effort、tools、permission、worktree | 並列編集の競合とトークン増加を管理する必要がある |
| ChatGPT | 対話、ファイルを使う一般作業 | 会話、選択した機能、Skills | 目的、入力、出力形式、使用するSkill | サブエージェントの提供範囲はアカウントと利用形態に依存する |
| ChatGPT Work | 長時間作業、複数観点の調査・作成 | 親の作業と並列subagents | 分割観点、待機条件、統合形式 | ローカルCodexの子エージェント設定とは別のホスト環境で動く |
| Codex | ソフトウェア開発、ローカル/クラウドの作業 | メインthread、subagent thread、Skills | model、reasoning effort、sandbox、並列数、agent指示 | workerごとの実行もトークンとツール利用を消費する |
Claude ChatはResearchで調査を動的に広げる
Claudeの標準的なChatは、対話を中心に質問や分析を進める利用形態です。複数ソースをたどる調査ではResearchを有効にすると、Claudeが次に何を調べるかを判断しながら検索を重ね、引用付きの回答を作ります。[1]
Anthropicの説明では、Researchの内部はorchestrator-workerパターンです。lead agentが調査計画を作り、複数のsubagentを並列に動かして結果を統合します。[2]
利用者が指定するのは、内部エージェントのファイル構成ではなく、調査の境界と完成条件です。たとえば次のように依頼します。
Researchを使い、国内の生成AIガバナンス動向を調査してください。
法制度、業界ガイドライン、主要企業の公開方針を別々の観点で確認し、
一次資料を優先してください。最後に共通点、相違点、未確認事項を分けてください。この依頼では、観点の独立性と統合形式を指定しています。ただし、Claude Codeのように各subagentのモデルやツールを利用者が個別設定する例ではありません。
Claude Coworkは知識作業を計画から成果物まで進める
Claude Coworkは、Claude Codeを支えるエージェント型の構成を、端末操作なしの知識作業へ広げた利用形態です。依頼を分析して計画を作り、必要に応じてサブタスクへ分け、複数の作業を並列に進めます。[3] 文書、表計算、プレゼンテーション、整理済みファイルなど、完成した成果物までを対象にできます。
Coworkでは、子エージェントの構成よりも、入力、成果物、権限、確認点を明確にします。
接続したフォルダ内の顧客ヒアリング記録から四半期レポートを作成してください。
1. 顧客課題の分類
2. 要望件数の集計
3. 重要な引用の抽出
は並行して進めて構いません。
最終成果物は、根拠リンク付きのMarkdownレポートと集計用スプレッドシートです。
ファイルの削除と外部送信は実行せず、必要なら事前に確認してください。並列にできる作業と禁止操作を同時に示すことで、速さだけでなく安全境界もオーケストレーションへ含められます。
Claude CodeはsubagentsとAgent Teamsを使い分ける
Claude Codeのsubagentは、個別のコンテキストで限定された仕事を行い、要約をメイン会話へ返す子エージェントです。.claude/agents/へMarkdown定義を置くと、役割、モデル、effort、ツール、権限、Skills、worktree分離を設定できます。[4]
一方のAgent Teamsは、team leadと複数のteammateが共有タスクリストとメッセージを使って協調する実験的機能です。subagentより調整能力が高い反面、各teammateが独立したClaude Codeインスタンスとして動くため、トークン消費も大きくなります。[5]
判断基準は、子同士の相談が必要かどうかです。
- 調査、ログ解析、限定レビューの結果だけが必要ならsubagent
- 複数の担当が途中結果を交換し、タスクを取り合う必要があるならAgent Teams
- 同じファイルを順番に直す作業や依存関係が多い作業なら単一セッション
具体的なディレクトリと設定は、Claude Codeの親子エージェント設計で扱います。
ChatGPTでは通常のChatとChatGPT Workを分けて考える
ChatGPTでは、通常の会話、Projects、Skills、ファイル、各種ツールを組み合わせて作業します。公式のsubagent資料は、対象となるChatGPT Workアカウントで並列エージェントの活動と結果を表示できると説明しています。[6] そのため、「ChatGPTならすべて同じsubagent機能を使える」と一般化せず、利用中のアカウントと画面で提供状況を確認します。
ChatGPT Workで複数観点のレビューを依頼する例は次のとおりです。
この提案書を並列のsubagentでレビューしてください。
法務上の表現、数値の整合性、読み手の理解しやすさに1 agentずつ割り当てます。
3 agentの完了を待ち、重複を除いて重大度順に統合してください。
本文は変更せず、指摘と根拠だけを返してください。分割軸、待機、統合、非変更という4点を明示すると、親エージェントが結果をまとめやすくなります。ChatGPT Workではモデルとintelligence levelを会話側で選びますが、Codexのローカル設定と同じTOML構成を前提にしません。[6]
Codexはagent threadと設定ファイルで役割を固定する
Codexのsubagent workflowは、親のthreadが独立した仕事を子のagent threadへ委譲し、完了後に結果を統合する流れです。Codex CLI、IDE、ChatGPTデスクトップアプリでは、子のthreadを開いて進捗や結果を確認できます。[6]
プロジェクト用の.codex/agents/には、子エージェントごとのTOMLファイルを置けます。model、model_reasoning_effort、sandbox_mode、利用するSkillやMCP接続を役割ごとに変えられます。[6] 再利用する手順は.agents/skills/<skill-name>/SKILL.mdに分け、必要なときだけ本文を読み込ませます。[7]
Codexへの依頼例は、役割名と依存関係まで示します。
親agentは仕様と変更範囲を確定してください。
explorerに影響範囲の読み取り調査、test_analystに既存テストの不足確認を並列委譲します。
両方の結果を待ってからworkerへ最小実装を任せ、最後にreviewerが差分だけを確認してください。具体的なTOMLとSkill設計は、Codexの親子エージェント設計で扱います。
製品名ではなく仕事の形から利用形態を選ぶ
最初に、作業が「回答」「調査」「成果物」「リポジトリ変更」のどれで終わるかを決めます。次に、独立した観点があるか、子同士が連絡する必要があるか、利用者がモデルと権限を固定する必要があるかを確認します。
flowchart TD
A["必要な結果は何か"] --> B{"ファイルやコードを変更するか"}
B -->|いいえ| C{"長時間の成果物作成か"}
C -->|いいえ| D["Claude Chat / ChatGPT"]
C -->|はい| E["Claude Cowork / ChatGPT Work"]
B -->|はい| F{"リポジトリ単位の設定が必要か"}
F -->|はい| G["Claude Code / Codex"]
F -->|いいえ| Eサービス内部の実装が同じとは限りません。公開された設定項目だけを利用者が制御できる機能として扱い、内部のモデル構成は公式説明がある場合に限って例示します。
参考文献
- Anthropic, Use research on Claude, 2026-06-02
- Anthropic, How we built our multi-agent research system, 2025-06-13
- Anthropic, Get started with Claude Cowork
- Anthropic, Create custom subagents
- Anthropic, Orchestrate teams of Claude Code sessions
- OpenAI, Subagents
- OpenAI, Build skills
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