コンテンツにスキップ
LinkedInX

リモートMCPとローカルMCP

約10分

対象読者: MCPの基本概念(アーキテクチャ・ケイパビリティ)を理解している方
前提知識: MCPのアーキテクチャMCPのケイパビリティ を読んでいること

MCPサーバーには2種類の「動き場所」があります。あなたのパソコンの中で動くローカルMCPと、インターネット上のサーバーで動くリモートMCPです。MCP公式ドキュメントでは、ローカルサーバーは主にstdio、リモートサーバーは主にStreamable HTTPで接続する構成として説明されています。[1]

まず「MCPサーバーはどこで動くか」という疑問から

Section titled “まず「MCPサーバーはどこで動くか」という疑問から”

MCPを学ぶと、こんな疑問が生まれます。

「MCPサーバーって、私のパソコンの中にあるの?それともFigmaのサーバーにあるの?」

この疑問の答えが、ローカルMCPリモートMCPの違いです。

MCPサーバーが動く場所によって、接続方法・セキュリティ・セットアップの手間がまったく異なります。

ローカルMCP:あなたのパソコンで動く

Section titled “ローカルMCP:あなたのパソコンで動く”

ローカルMCPは、あなたのパソコン(ローカル環境)上でMCPサーバーが起動する方式です。

AIアプリ(ホスト)とMCPサーバーは、同じパソコンの中で**標準入出力(stdio)**を通じて通信します。「標準入出力」とは、プログラム同士がテキストを受け渡しするための仕組みです。MCP公式ドキュメントは、stdioを同一マシン上のローカルプロセス間通信向けトランスポートとして説明しています。[1]

あなたのパソコン
┌─────────────────────────────────────────┐
│  Claude Desktop(AIホスト)              │
│        ↕ stdio通信(プロセス間通信)      │
│  ファイルシステムMCPサーバー              │
│        ↕                               │
│  📁 あなたのファイル                     │
└─────────────────────────────────────────┘
インターネット接続:不要
MCPサーバー何ができるか
ファイルシステムMCPパソコン内のファイルを読み書きする
Git MCPローカルのGitリポジトリを操作する
SQLite MCPローカルのデータベースに問い合わせる
ブラウザ MCPローカルのブラウザを操作する
項目内容
動作場所あなたのパソコン
通信方式stdio(標準入出力)
インターネット不要
セキュリティ高い(外部に情報が出ない)
設定の手間やや高い(インストールが必要)
使い始めのハードル中〜高(コマンドライン操作が必要な場合も)

リモートMCP:インターネット上のサーバーで動く

Section titled “リモートMCP:インターネット上のサーバーで動く”

リモートMCPは、サービス提供者のサーバー上でMCPサーバーが動いている方式です。あなたのパソコンにサーバープロセスを置かず、インターネット経由でAIアプリとMCPサーバーが通信します。

通信には Streamable HTTP が使われ、ストリーミングが必要な場合はServer-Sent Events(SSE)も利用できます。MCP公式ドキュメントは、Streamable HTTPをリモートサーバー通信向けのトランスポートとして説明しています。[1]

あなたのパソコン                  インターネット上
┌─────────────────┐              ┌──────────────────────┐
│ Claude Desktop  │ ←─HTTP─→     │ Figma MCPサーバー     │
│(AIホスト)      │              │(Figmaが運営)        │
└─────────────────┘              │   ↕ OAuth認証         │
                                 │  📐 Figmaデータ        │
                                 └──────────────────────┘
インターネット接続:必要

FigmaのNative MCPで理解するリモートMCP

Section titled “FigmaのNative MCPで理解するリモートMCP”

Figmaは2025年にDev Mode向けMCPサーバーをベータ公開し、その後Figma MakeなどからリモートのAI coding agentやIDEが利用できる方向へ拡張したと報じられています。[2] ここでは、リモートMCPを理解するための例としてFigmaを扱います。

Figmaは、UIデザインツールです。デザイナーはFigmaでボタン・レイアウト・アイコンなどを作ります。

従来、AIがFigmaのデータを使いたい場合は、開発者が独自に「FigmaのAPIを呼び出す仕組み」を作る必要がありました。FigmaのMCPサーバーにより、MCPクライアント経由でFigmaのデザイン情報やFigma Makeのコード文脈へアクセスする流れが紹介されています。[2]

対応するAIアプリが、MCPクライアント経由でFigmaのデータにアクセスできる

  1. 対応するAIアプリにFigma MCPサーバーの接続情報を設定する
  2. Figma側の認証・権限付与を行う
  3. AIアプリがMCP経由でFigmaのデータを参照できるようになる

リモート方式では、ローカルMCPサーバーを自分のパソコンへインストールする必要はありません。

MCPのSkills(ケイパビリティ):Figmaを例にした現実の具体例

Section titled “MCPのSkills(ケイパビリティ):Figmaを例にした現実の具体例”

MCPサーバーが提供する機能をSkills(MCP用語では「ケイパビリティ」)と呼びます。3種類あります。それぞれをFigmaの例で具体的に見てみましょう。

Tools(ツール):AIが「実行」できる操作

Section titled “Tools(ツール):AIが「実行」できる操作”

ToolsはAIが呼び出して何かを実行する機能です。ファイルの作成・更新・削除など、実際に何かが変わる操作です。

Figmaで考える例

操作タイプ何が起きるか使い方の例
作成系新しい画面や要素を作成する「ログイン画面のたたき台を作って」
更新系既存の要素(テキスト・色など)を変更する「このボタンの色をブランドカラーに合わせて」
仕様生成系デザイン情報をもとに実装メモを作る「このコンポーネントの実装仕様をまとめて」

日常生活に例えると:「Toolsはロボットに『棚に物を置いて』と指示するようなもの。実際に物が動く(副作用がある)」

ポイント: Toolsは「何かをする」操作なので、実行前に確認画面が表示されることがあります。

Resources(リソース):AIが「読む」データ

Section titled “Resources(リソース):AIが「読む」データ”

Resourcesは読み取り専用のデータです。変更は伴いません。

Figmaで考える例

リソース取得できるもの使い方の例
Figmaファイル一覧自分のプロジェクト・ファイルの一覧「どんなプロジェクトがある?」
コンポーネント情報ボタン・カードなどのコンポーネント仕様「ボタンのデザイン仕様を教えて」
フレーム構造画面のレイアウト・階層情報「ログイン画面の構造を確認して」

日常生活に例えると:「Resourcesはロボットに『棚を見て』と指示するようなもの。物は動かない(副作用なし)」

ポイント: Resourcesは「情報を見るだけ」なので、Toolsより安全です。

Prompts(プロンプト):定型作業を「ワンクリック化」

Section titled “Prompts(プロンプト):定型作業を「ワンクリック化」”

Promptsは、よく使う質問・指示をテンプレートとして保存しておく機能です。

Figmaで考える例

Prompt名実行されること
design_review「このFigmaデザインをアクセシビリティの観点でレビューして」を自動実行
generate_component_spec「このコンポーネントの実装仕様書を生成して」を自動実行

日常生活に例えると:「Promptsは、よく注文するランチをお気に入り登録しておくようなもの。ワンタップで同じ指示が実行できる」

他のサービスでも見てみよう:リモートMCPの例

Section titled “他のサービスでも見てみよう:リモートMCPの例”

Figma以外にも、WebサービスとAIアプリを接続するためにリモートMCPサーバーを使う設計が増えています。次の表は、MCPのTools/Resourcesの考え方をサービス別に当てはめた概念例です。

サービスToolsの例Resourcesの例
GitHubcreate_issue(Issue作成), merge_pr(PRマージ)リポジトリ構造、ファイル内容
Slacksend_message(メッセージ送信), create_channel(チャンネル作成)チャンネル履歴、メンバー一覧
Notioncreate_page(ページ作成), update_block(ブロック更新)ドキュメント内容、データベース

ローカルとリモートの違いを一覧で比較

Section titled “ローカルとリモートの違いを一覧で比較”
比較項目ローカルMCPリモートMCP
どこで動くあなたのパソコンインターネット上のサーバー
通信方式stdioStreamable HTTP(必要に応じてSSE)
インターネット不要
インストール不要
プライベートデータ向き✅(外に出ない)⚠️(サーバーに送信される)
常に最新状態❌(手動更新)✅(サービス側が管理)
代表例ファイルシステム、Git、SQLiteFigma、GitHub、Slack

ローカルMCPが向いているケース

  • パソコン内のファイルや非公開データにアクセスしたい
  • インターネットに接続できない環境で使いたい
  • 機密情報を外部サーバーに送りたくない

リモートMCPが向いているケース

  • FigmaやSlackなどWebサービスのデータにアクセスしたい
  • セットアップを簡単に済ませたい
  • 常に最新機能を使いたい(サービス提供者が更新してくれる)

両方を同時に使うこともできます。同じHostが複数のMCPサーバーへ接続する構成は、MCP公式ドキュメントのアーキテクチャ説明にも含まれます。[1]

  • ローカルMCP: あなたのパソコン上で動き、stdioで通信。ファイルやローカルDBなどに向く
  • リモートMCP: インターネット上のサーバーで動き、Streamable HTTPで通信。WebサービスのAPIに向く
  • Figma MCP: リモートMCPを理解するための代表的な事例の一つ
  • Tools/Resources/Prompts: MCPサーバーが提供する機能の3分類。それぞれ「実行・読み取り・テンプレート」の役割がある[3]

Q: ローカルMCPとリモートMCPを同時に使えますか?

A: はい、使えます。MCPのアーキテクチャでは、Hostが複数のMCPサーバーへの接続を管理できます。[1]

Q: 自分でリモートMCPサーバーを作れますか?

A: 作れます。Streamable HTTPに対応したサーバーを実装し、MCPプロトコルに従えばリモートMCPサーバーとして動作します。[1] ただし、ローカルMCPより認証・ネットワーク・運用の設計が複雑になります。

  1. Model Context Protocol, Architecture overview
  2. The Verge, Figma made its design tools more accessible to AI agents, 2025年9月23日
  3. Model Context Protocol, What is the Model Context Protocol?
クイズ