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リモートMCPとローカルMCP

対象読者: MCPの基本概念(アーキテクチャ・ケイパビリティ)を理解している方
前提知識: MCPのアーキテクチャMCPのケイパビリティ を読んでいること

MCPサーバーには2種類の「動き場所」があります。あなたのパソコンの中で動くローカルMCPと、インターネット上のサーバーで動くリモートMCPです。MCP公式ドキュメントでは、ローカルサーバーは主にstdio、リモートサーバーは主にStreamable HTTPで接続する構成として説明されています。[1]

まず「MCPサーバーはどこで動くか」という疑問から

MCPを学ぶと、こんな疑問が生まれます。

「MCPサーバーって、私のパソコンの中にあるの?それともFigmaのサーバーにあるの?」

この疑問の答えが、ローカルMCPリモートMCPの違いです。

MCPサーバーが動く場所によって、接続方法・セキュリティ・セットアップの手間がまったく異なります。

ローカルMCP:あなたのパソコンで動く

ローカルMCPは、あなたのパソコン(ローカル環境)上でMCPサーバーが起動する方式です。

AIアプリ(ホスト)とMCPサーバーは、同じパソコンの中で**標準入出力(stdio)**を通じて通信します。「標準入出力」とは、プログラム同士がテキストを受け渡しするための仕組みです。MCP公式ドキュメントは、stdioを同一マシン上のローカルプロセス間通信向けトランスポートとして説明しています。[1]

ローカルMCPの仕組み

あなたのパソコン
┌─────────────────────────────────────────┐
│  Claude Desktop(AIホスト)              │
│        ↕ stdio通信(プロセス間通信)      │
│  ファイルシステムMCPサーバー              │
│        ↕                               │
│  📁 あなたのファイル                     │
└─────────────────────────────────────────┘
インターネット接続:不要

ローカルMCPの具体例

MCPサーバー何ができるか
ファイルシステムMCPパソコン内のファイルを読み書きする
Git MCPローカルのGitリポジトリを操作する
SQLite MCPローカルのデータベースに問い合わせる
ブラウザ MCPローカルのブラウザを操作する
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

ローカルMCPの特徴まとめ

項目内容
動作場所あなたのパソコン
通信方式stdio(標準入出力)
インターネット不要
セキュリティ高い(外部に情報が出ない)
設定の手間やや高い(インストールが必要)
使い始めのハードル中〜高(コマンドライン操作が必要な場合も)
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

リモートMCP:インターネット上のサーバーで動く

リモートMCPは、サービス提供者のサーバー上でMCPサーバーが動いている方式です。あなたのパソコンにサーバープロセスを置かず、インターネット経由でAIアプリとMCPサーバーが通信します。

通信には Streamable HTTP が使われ、ストリーミングが必要な場合はServer-Sent Events(SSE)も利用できます。MCP公式ドキュメントは、Streamable HTTPをリモートサーバー通信向けのトランスポートとして説明しています。[1]

リモートMCPの仕組み

あなたのパソコン                  インターネット上
┌─────────────────┐              ┌──────────────────────┐
│ Claude Desktop  │ ←─HTTP─→     │ Figma MCPサーバー     │
│(AIホスト)      │              │(Figmaが運営)        │
└─────────────────┘              │   ↕ OAuth認証         │
                                 │  📐 Figmaデータ        │
                                 └──────────────────────┘
インターネット接続:必要

FigmaのNative MCPで理解するリモートMCP

Figmaは2025年にDev Mode向けMCPサーバーをベータ公開し、その後Figma MakeなどからリモートのAI coding agentやIDEが利用できる方向へ拡張したと報じられています。[2] ここでは、リモートMCPを理解するための例としてFigmaを扱います。

Figma Native MCPとは何か

Figmaは、UIデザインツールです。デザイナーはFigmaでボタン・レイアウト・アイコンなどを作ります。

従来、AIがFigmaのデータを使いたい場合は、開発者が独自に「FigmaのAPIを呼び出す仕組み」を作る必要がありました。FigmaのMCPサーバーにより、MCPクライアント経由でFigmaのデザイン情報やFigma Makeのコード文脈へアクセスする流れが紹介されています。[2]

対応するAIアプリが、MCPクライアント経由でFigmaのデータにアクセスできる

接続の流れ(初心者向け)

  1. 対応するAIアプリにFigma MCPサーバーの接続情報を設定する
  2. Figma側の認証・権限付与を行う
  3. AIアプリがMCP経由でFigmaのデータを参照できるようになる

リモート方式では、ローカルMCPサーバーを自分のパソコンへインストールする必要はありません。

MCPのSkills(ケイパビリティ):Figmaを例にした現実の具体例

MCPサーバーが提供する機能をSkills(MCP用語では「ケイパビリティ」)と呼びます。3種類あります。それぞれをFigmaの例で具体的に見てみましょう。

Tools(ツール):AIが「実行」できる操作

ToolsはAIが呼び出して何かを実行する機能です。ファイルの作成・更新・削除など、実際に何かが変わる操作です。

Figmaで考える例

操作タイプ何が起きるか使い方の例
作成系新しい画面や要素を作成する「ログイン画面のたたき台を作って」
更新系既存の要素(テキスト・色など)を変更する「このボタンの色をブランドカラーに合わせて」
仕様生成系デザイン情報をもとに実装メモを作る「このコンポーネントの実装仕様をまとめて」
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

日常生活に例えると:「Toolsはロボットに『棚に物を置いて』と指示するようなもの。実際に物が動く(副作用がある)」

ポイント: Toolsは「何かをする」操作なので、実行前に確認画面が表示されることがあります。

Resources(リソース):AIが「読む」データ

Resourcesは読み取り専用のデータです。変更は伴いません。

Figmaで考える例

リソース取得できるもの使い方の例
Figmaファイル一覧自分のプロジェクト・ファイルの一覧「どんなプロジェクトがある?」
コンポーネント情報ボタン・カードなどのコンポーネント仕様「ボタンのデザイン仕様を教えて」
フレーム構造画面のレイアウト・階層情報「ログイン画面の構造を確認して」
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

日常生活に例えると:「Resourcesはロボットに『棚を見て』と指示するようなもの。物は動かない(副作用なし)」

ポイント: Resourcesは「情報を見るだけ」なので、Toolsより安全です。

Prompts(プロンプト):定型作業を「ワンクリック化」

Promptsは、よく使う質問・指示をテンプレートとして保存しておく機能です。

Figmaで考える例

Prompt名実行されること
design_review「このFigmaデザインをアクセシビリティの観点でレビューして」を自動実行
generate_component_spec「このコンポーネントの実装仕様書を生成して」を自動実行
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

日常生活に例えると:「Promptsは、よく注文するランチをお気に入り登録しておくようなもの。ワンタップで同じ指示が実行できる」

他のサービスでも見てみよう:リモートMCPの例

Figma以外にも、WebサービスとAIアプリを接続するためにリモートMCPサーバーを使う設計が増えています。次の表は、MCPのTools/Resourcesの考え方をサービス別に当てはめた概念例です。

サービスToolsの例Resourcesの例
GitHubcreate_issue(Issue作成), merge_pr(PRマージ)リポジトリ構造、ファイル内容
Slacksend_message(メッセージ送信), create_channel(チャンネル作成)チャンネル履歴、メンバー一覧
Notioncreate_page(ページ作成), update_block(ブロック更新)ドキュメント内容、データベース
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

ローカルとリモートの違いを一覧で比較

比較項目ローカルMCPリモートMCP
どこで動くあなたのパソコンインターネット上のサーバー
通信方式stdioStreamable HTTP(必要に応じてSSE)
インターネット不要
インストール不要
プライベートデータ向き✅(外に出ない)⚠️(サーバーに送信される)
常に最新状態❌(手動更新)✅(サービス側が管理)
代表例ファイルシステム、Git、SQLiteFigma、GitHub、Slack
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

どちらを選ぶべきか

ローカルMCPが向いているケース

  • パソコン内のファイルや非公開データにアクセスしたい
  • インターネットに接続できない環境で使いたい
  • 機密情報を外部サーバーに送りたくない

リモートMCPが向いているケース

  • FigmaやSlackなどWebサービスのデータにアクセスしたい
  • セットアップを簡単に済ませたい
  • 常に最新機能を使いたい(サービス提供者が更新してくれる)

両方を同時に使うこともできます。同じHostが複数のMCPサーバーへ接続する構成は、MCP公式ドキュメントのアーキテクチャ説明にも含まれます。[1]

まとめ

  • ローカルMCP: あなたのパソコン上で動き、stdioで通信。ファイルやローカルDBなどに向く
  • リモートMCP: インターネット上のサーバーで動き、Streamable HTTPで通信。WebサービスのAPIに向く
  • Figma MCP: リモートMCPを理解するための代表的な事例の一つ
  • Tools/Resources/Prompts: MCPサーバーが提供する機能の3分類。それぞれ「実行・読み取り・テンプレート」の役割がある[3]

よくある質問

Q: ローカルMCPとリモートMCPを同時に使えますか?

A: はい、使えます。MCPのアーキテクチャでは、Hostが複数のMCPサーバーへの接続を管理できます。[1]

Q: 自分でリモートMCPサーバーを作れますか?

A: 作れます。Streamable HTTPに対応したサーバーを実装し、MCPプロトコルに従えばリモートMCPサーバーとして動作します。[1] ただし、ローカルMCPより認証・ネットワーク・運用の設計が複雑になります。

関連リンク

参考文献

  1. Model Context Protocol, Architecture overview
  2. The Verge, Figma made its design tools more accessible to AI agents, 2025年9月23日
  3. Model Context Protocol, What is the Model Context Protocol?
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