Generative UIの仕組みと活用例:Vercel AI SDK・Claudeで変わるAIの回答画面
この記事で学べること
- Generative UIとテキスト回答の違い、ツール呼び出しから画面を表示する仕組み
- Vercel AI SDK、Claude Artifacts、Claude Designでの活用例と、それぞれの違い
- 自分のプロダクトに導入する前に確認したい制約、安全性、運用上の留意点
Generative UIによる、文章から操作画面への変化
Generative UI(生成UI)は、AIの回答を文章だけでなく、ボタン、入力欄、グラフなどを使った操作可能な画面として組み立てる仕組みです。天気を質問したら天気カードが表示され、予約を依頼したら日付を選ぶカレンダーが表示される、といった使い方があります。
ただし、Generative UIと呼ばれる仕組みが、すべて同じ方法で画面を作るわけではありません。Vercel AI SDKのような開発用の仕組みでは、開発者が用意した画面要素に、AIが呼び出したツールの結果を渡して表示できます。一方、ClaudeのArtifacts(AIが作った成果物を表示・操作できる専用領域)では、会話からアプリのコードや画面を生成できます。
この違いによって、AIに生成を任せる範囲と、利用者や開発者が品質・動作を確認する範囲も変わります。自分のプロダクトへの導入を考える際は、まず対象の画面要素を絞り、表示の品質と検証にかかる手間を確かめると、どこまで適用できるか判断しやすくなります。
この記事では、Generative UIの仕組みと活用例を整理し、どの場面で試すか、どの制約を先に確認するかを考えるための材料を紹介します。
Generative UIの基本と、テキスト回答との違い
Generative UIは、大規模言語モデル(LLM、文章を理解・生成するAIモデル)が、文章に加えて操作可能なユーザーインターフェース(UI、利用者が情報を見たり操作したりする画面)を生成する仕組みです。
Vercel AI SDKの公式ドキュメントでは、Generative UIを、ツール呼び出しの結果をReactコンポーネントに接続するプロセスとして説明しています。[1] ツール呼び出しとは、モデルが特定の処理を行う関数を呼び出すことです。Reactコンポーネントは、Reactという開発ライブラリで作る画面要素を指します。
従来のチャットボットは、質問に文章で答える形が中心でした。Generative UIでは、天気の質問に対して気温や降水確率を並べたカードを表示したり、予約の依頼に対してカレンダーの選択画面を表示したりできます。利用者は回答を読むだけでなく、その画面で操作を続けられます。
この仕組みからは、モデルが会話の内容に応じて回答の形式を選べる点が見て取れます。文章で説明する場面と、画面で情報を見せたり操作してもらったりする場面を、会話の文脈に応じて切り替える方法と整理できます。
ツール呼び出しから画面表示までの流れ
Generative UIの中心にあるのは、開発者がモデルに渡す「ツール」です。モデルは、利用できるツールの一覧と会話の文脈を基に、いつ、どのツールを使うかを判断します。[1]
Vercel AI SDKの公式ドキュメントにある天気ツールの例では、次のように処理します。
- モデルにプロンプト(依頼や指示)と、利用できるツールの一覧を渡す。
- モデルが、ツールを呼び出すかどうかを判断する。
- 呼び出されたツールが処理を実行し、気象データなどの結果を返す。
- アプリがそのデータを専用のReactコンポーネントに渡し、天気カードなどとして表示する。
この方式では、ツールの結果をそのまま文章として表示するのではなく、データの内容に合うように設計した画面要素へ渡します。画面のコードを毎回ゼロから生成する必要はありません。また、ツールの実行状態に応じて、読み込み中の表示から取得結果の表示へ切り替えることもできます。[1]
利用者が表示された画面で操作し、その結果を確認することで、会話からツール呼び出し、画面表示、操作、結果確認へとつながります。
AI SDK UIと、実験的なAI SDK RSCの違い
現在のVercel AI SDK UIのドキュメントでは、streamTextやuseChatを使い、ツールの実行状態と結果をメッセージの一部として扱う構成が案内されています。[1]
一方、React Server Components(サーバー側で画面要素を描画し、利用者側へ送るReactの仕組み)を使うstreamUIは、AI SDK RSC側の実験的なAPI(プログラムから機能を呼び出すための仕組み)として説明されています。こちらはコンポーネントをストリーミングする、つまり順次送って表示するための機能です。[2]
どちらもGenerative UIに関係しますが、ドキュメント上の位置づけは異なります。実装を検討する際は、AI SDK UIで案内されている構成と、AI SDK RSCの実験的な機能を区別する必要があります。
開発用の仕組みとAIチャット製品での活用例
ここで紹介するGenerative UIの活用は、利用する場面に応じて「開発者が自分のアプリに組み込む方法」と「AIチャット製品の機能として利用する方法」の2つに整理できます。
Vercel AI SDKによる、独自の画面要素の表示
Vercelは、AI SDK 3.0でGenerative UIのサポートを導入したと公式ブログで説明しています。[3] 開発者は、チャットアプリの中でツール呼び出しの結果を独自のReactコンポーネントとして表示できます。
公式ドキュメントや公開事例では、次のような用途が挙げられています。
- 天気カードなど、データを視覚的に見せる画面要素
- Recharts(Reactでグラフを描画するライブラリ)などを使った、操作可能なグラフやダッシュボード
- 日付の選択や検索結果からの選択など、利用者の操作を伴う画面
Vercelは、AIエージェントやアプリケーション向けの周辺機能も案内しています。長時間の処理を一時停止・再開できるWorkflows、ユーザーが生成したコードやAIエージェントの出力を隔離環境で実行するSandbox、AIアプリケーション向けの画面要素群であるAI Elementsなどです。[4][5][6] Sandbox(サンドボックス)は、ほかの環境への影響を抑えてコードを実行するための隔離環境を指します。
これらの機能の役割を踏まえると、Generative UIを一度だけ表示して終わる画面ではなく、継続的に処理や操作を行うアプリの一部として組み込む際の構成要素と考えられます。これは機能の役割に基づく整理であり、組み合わせた際の効果が実証されたという意味ではありません。
Claude Artifactsによる、会話からのアプリ生成
AnthropicのClaude Artifactsでは、単体で扱えるコンテンツを、チャットとは別の専用ウィンドウに表示できます。例として、コード、単一ページのHTMLサイト、操作可能なReactコンポーネントなどが挙げられています。[7]
公式案内では、Artifactsを共有可能なアプリ、ツール、コンテンツとして扱えることや、AI機能を組み込んだアプリとして実行できることも説明されています。[7] 利用者が文章の回答を受け取るだけでなく、その場で動くアプリを受け取れる点が、従来のチャットとの違いです。
Vercel AI SDKであらかじめ用意した画面要素を表示する方式と、Artifactsでアプリのコードを生成する方式では、生成される範囲が異なります。そのため、表示の品質や動作を確認する際も、それぞれの方式に応じた確認が必要になります。
Claude Designによる、デザインやプロトタイプの作成
Anthropicは2026年4月17日、Anthropic Labsのプレビュー製品としてClaude Designを公開しました。Claudeとの会話を通じて、デザイン、プロトタイプ(動作や見た目を確認する試作品)、スライドなどのビジュアル成果物を作成する製品です。Claude Opus 4.7を基盤とし、リサーチプレビューとして提供されると説明されています。[8]
完成した内容は、Claude Codeへ引き渡せる形にまとめられます。[8] 別記事「Claude Designの使い分け」では、Claude Designをどの工程で使うかを整理しています。
Generative UIの観点では、Claude Designは、会話からビジュアル成果物を作る方法をデザイン工程に適用した例と捉えられます。ツールの結果を画面要素に渡すVercel AI SDKの方式とは異なりますが、会話を通じて文章以外の成果物を作るという共通点があります。
導入前に確認したい制約と留意点
Generative UIを自分のプロダクトに取り入れる際は、画面にする価値、品質の一貫性、各機能の提供条件が確認の観点になります。
画面表示を増やすことによる、設計と検証の負担
UIの生成には相応の処理が伴います。ツール呼び出しと画面要素の表示を組み合わせるため、単純なテキスト応答よりも、設計と検証に手間がかかります。
すべての回答を画面にすれば便利になるとは限りません。どの回答は文章で十分か、どの回答はカードやグラフ、入力画面にする価値があるかによって、実装に必要な作業量が変わります。
生成される画面の品質とデザインの一貫性
モデルが状況に応じて表示するUIを選ぶと、想定していなかった画面が出たり、画面ごとにデザインがそろわなかったりする可能性があります。
開発者があらかじめ用意したコンポーネントに結果を渡す方式であれば、表示やデザインのばらつきを抑えやすいと考えられます。どこまでAIに生成を任せ、どこからは既存の画面要素を使うかが、品質を保つための判断点になります。
発展途上の機能と、変わり得る提供条件
Claude Designはリサーチプレビューとして案内されています。また、VercelのWorkflows、Sandbox、AI Elementsについても、提供条件や制限を個別に確認する必要があります。[4][5][6][8]
仕様や提供条件は変わる可能性があります。本番導入の前には、利用する機能について、対象プラン、制限、料金の最新情報を公式サイトや公式ドキュメントで確認する必要があります。
外部サービスを操作するアプリへの広がり
公開されている機能からは、会話で作った画面を外部サービスにつなぎ、継続的な処理に組み込む使い方が見て取れます。ただし、Generative UIがアプリケーション開発の主要な方法になるかどうかは、これらの機能だけでは判断できません。
こうした使い方に関わる、2つの動きがあります。1つ目は、ArtifactsがModel Context Protocol(MCP、AIを外部データやツールにつなぐための接続規格)を通じて外部サービスに接続できると案内されていることです。Asana、Google Calendar、Slackなどのツールのデータを読み書きする、操作可能なアプリを作れると説明されています。[7] これは、情報を表示する画面要素から、実際にデータを取得・操作するアプリへ用途が広がっていることを示しています。
2つ目は、Vercelが、長時間動作する処理や、コードを隔離環境で実行する機能を公式に提供していることです。[4][5] この機能構成から、Generative UIを単発の画面表示にとどめず、処理を継続するシステムの一部として設計する方法が考えられます。
人による品質確認と画面設計の役割
こうした機能があっても、人によるUI設計や品質確認が不要になるとは言えません。生成される画面の品質保証、アクセシビリティ(誰もが使えるようにするための設計)、ブランドとの一貫性は、引き続き人が判断する領域です。
Vercel AI SDKの方式では、あらかじめ用意した画面要素を状況に応じて組み立てられます。[1] 品質の一貫性を重視する場合、この方式が選択肢になります。どの方式が広く定着するかは、公開されている機能だけでは判断できません。
まとめ:対象を絞ってGenerative UIの品質と検証の手間を確かめる
Generative UIは、AIの回答を文章だけでなく、操作可能な画面として提示する仕組みです。Vercel AI SDKではツールの結果を画面要素に渡す方式が案内され、Claude Artifactsでは会話からアプリを生成できます。Claude Designは、会話からビジュアル成果物を作る方法をデザイン工程に適用した例と捉えられます。
導入を検討する際の留意点は、画面にする価値のある回答を見極めること、生成を任せる範囲と既存の画面要素を使う範囲を分けること、提供条件を確認することです。まず天気カードやグラフなどに対象を絞り、品質と検証の手間を確かめたうえで適用範囲を広げる進め方が、検証の対象を限定する選択肢になります。
参考文献
- Vercel, AI SDK UI: Generative User Interfaces, 2026
- Vercel, AI SDK RSC: Streaming React Components, 2026
- Vercel, Introducing AI SDK 3.0 with Generative UI support, 2024年3月1日
- Vercel, Vercel Workflows, 2026年6月17日
- Vercel, Vercel Sandbox, 2026年6月30日
- Vercel, AI Elements, 2026
- Anthropic, What are artifacts and how do I use them?, 2026
- Anthropic, Introducing Claude Design by Anthropic Labs, 2026年4月17日
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