Vibe Codingとは:できることと人が確認すべきこと
この記事で学べること
- Vibe Codingの狭い意味と、一般的なAI支援開発との違い
- 試作品では速さを優先できても、本番利用では確認範囲が増える理由
- 目的、影響、検証方法からAIへ任せる範囲を決める判断基準
Vibe Codingはコードを詳しく読まず、AIとの会話と動作確認で作る進め方
Vibe Codingは、作りたいものを普段の言葉でAIへ伝え、生成されたコードを細かく読まずに、動いた結果を見ながら修正を重ねる進め方です。AIに手伝ってもらう開発すべてを指す言葉ではなく、人がコードの理解を意図的に手放す点が狭い意味での特徴です。
この記事では、「Vibe Codingは一般的なAI支援開発と何が違い、試作品と本番利用で確認範囲をどう変えるべきか」という問いに焦点を当て、中心概念の仕組み、混同しやすい境界、実務での判断材料を扱います。
最後まで読むと、「Vibe Codingは一般的なAI支援開発と何が違い、試作品と本番利用で確認範囲をどう変えるべきか」という問いを、自分の状況に照らして判断するための材料を持ち帰れます。
AI支援開発は人が理解と確認を残すかで区別できる
Vibe Codingという表現は、2025年初めにAndrej Karpathyが使ったことをきっかけに広まりました。[1] 自然な文章で「申込画面を作って」「ボタンを押したら次の画面へ進めて」と頼み、AIにコードを作らせる方法は幅広く使われています。研究でも、会話を通じてプログラムを作る方法がVibe Codingと関連づけて論じられています。[2]
ただし、言葉の使い分けは重要です。この記事では、コードをほとんど読まず動作だけで進める方法をVibe Codingと呼びます。人が設計、コード、検査結果を確認しながらAIを使う方法は、より広い「AI支援開発」として分けます。
| 進め方 | 人が主に見るもの | 向く場面 | 残りやすい問題 |
|---|---|---|---|
| Vibe Coding | 画面や動作の見た目 | 捨ててもよい試作品、個人的な実験 | 見えない不具合、安全性、後から直せない構造 |
| AI支援開発 | 目的、設計、コード、検査結果 | 継続利用するサイトや業務機能 | 確認に時間と専門知識が必要 |
| 人が中心の開発 | 設計と実装の細部 | 高い安全性や厳しい性能が必要なシステム | 制作時間と人員が必要 |
呼び方より重要なのは、人がどの理解と責任を残しているかです。
試作品では見た目を確かめ、本番利用では見えない影響まで調べる
試作品は、アイデアが役立ちそうかを早く確かめるための仮の制作物です。壊れても捨てられ、個人情報を扱わず、外部へ公開しないなら、Vibe Codingで画面や操作感を試す価値があります。
本番利用では確認範囲が変わります。画面が動いていても、入力した情報が他人に見えないか、間違った計算をしないか、利用者が増えても止まらないか、後から担当者が直せるかは見た目だけでは分かりません。AIが作ったものを本番へ出す前には、次を人が確認します。
- 目的:誰のどの問題を解くものか
- 正しさ:想定した入力だけでなく、間違った入力でも安全に動くか
- 情報の扱い:個人情報や秘密を必要以上に保存・送信しないか
- 維持:問題が起きたとき、原因を調べて元へ戻せるか
- 責任:公開を決める人と、問題時に対応する人が明確か
良い指示は見た目ではなく目的と合格条件を伝える
「かっこよくして」だけでは、AIは好みを推測します。代わりに「高校生がスマートフォンで読み、30秒以内に申込方法を見つけられる画面にする」のように、利用者、目的、合格条件を伝えます。
指示へ次の4項目を入れると、技術知識がなくても結果を比べやすくなります。
- 利用者:誰が使うか
- 目的:何をできるようにするか
- 変えてよい範囲:画面、文章、動作のどこまでか
- 合格条件:どの操作を試し、何が起きればよいか
具体的な色や文字サイズは必要なときだけ指定します。先に目的を決めれば、AIが出した案が目的に合うかを人が判断できます。
AIへ任せる範囲は失敗時の影響と検証方法で決める
次の表は、最初の用途を選ぶための判断材料です。
| 確認する質問 | はいの場合 | いいえの場合 |
|---|---|---|
| 失敗しても捨てて作り直せるか | 試作品として進めやすい | 詳しいレビューを先に用意する |
| 個人情報・決済・契約へ触れないか | 影響範囲を抑えやすい | 専門家と責任者の確認を必須にする |
| 合格条件を自分の言葉で書けるか | 結果を比較できる | 作る前に目的と条件を整理する |
| 問題時に止めて元へ戻せるか | 小さく試せる | 公開せず復旧方法を決める |
1つでも重大な「いいえ」があれば、コードを読まないVibe Codingの範囲を超えています。AIを使わないという意味ではなく、人の設計・検証を加えたAI支援開発へ切り替える合図です。
まとめ:最初は捨てられる試作品を選び、本番では人の理解を戻す
Vibe Codingを試す最初の一歩は、個人情報や支払いを扱わず、失敗しても捨てられる小さな試作品を1つ選ぶことです。利用者、目的、合格条件を書いてからAIへ依頼し、結果を自分で操作して確かめます。本番公開や継続運用が目的なら、コードを読まない進め方のままにせず、設計、安全性、検査結果を確認できる人を加えてください。
参考文献
- Merriam-Webster, vibe coding, Slang & Trending, 2026年6月4日更新
- Advait Sarkar and Ian Drosos, Vibe coding: programming through conversation with artificial intelligence, arXiv, 2025年