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DevOps・MLOps・AIOpsの概要

対象読者: DevOps、MLOps、AIOps の違いを整理し、AIサービス運用で何を管理すべきか理解したい方
前提知識: 開発手法の基礎デプロイとCI/CD を読んでいること

DevOps、MLOps、AIOps は、いずれも本番運用と継続改善に関係しますが、置き換え可能な三段階ではありません。DevOps はアプリケーション開発と運用、MLOps は機械学習システム、AIOps はAIを利用したIT運用を主な対象にします。必要なものを、サービスの構成と運用上のリスクから選びます。

3つの違いを先に整理する

用語分類主な対象目的監視・管理するもの
DevOps開発・運用の文化と実践アプリケーションとインフラ開発から運用までを継続的につなぐコード、ビルド、テスト、デプロイ、ログ、メトリクス
MLOpsMLエンジニアリングの文化と実践機械学習システムモデルを再現可能に学習・評価・デプロイするデータ、特徴量、モデル、評価指標、推論品質
AIOpsAIを利用するIT運用アプローチIT運用運用データを分析し、検知・原因調査・対応を支援するログ、メトリクス、トレース、アラート、インシデント
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

3つの責任範囲は重なります。たとえば推論APIのデプロイは DevOps と MLOps の両方に関係し、モデル品質の低下がインシデントになると MLOps と AIOps の情報連携が必要です。一方、外部モデルAPIを利用するだけのサービスに、自社モデルの学習パイプラインは不要です。

DevOpsとは

DevOps は、Development(開発)と Operations(運用)をつなぐ考え方です。AWS は DevOps を、開発とIT運用を組み合わせ、組織がアプリケーションやサービスを高速に提供できるようにする文化的な考え方、実践、ツールの組み合わせとして説明しています。[1]

DevOpsでは、次の流れを自動化・可視化します。

graph LR
    A["コード変更"] --> B["自動テスト"]
    B --> C["ビルド"]
    C --> D["デプロイ"]
    D --> E["監視"]
    E --> F["改善"]
    F --> A

代表的な実践は、CI/CD、Infrastructure as Code、監視、ログ集約、インシデント対応の改善です。目的は、開発チームが作ったものを運用チームへ引き渡して責任を終えるのではなく、本番で安全に動かし続ける責任を共有することです。

MLOpsとは

MLOps(Machine Learning Operations) は、機械学習システムを本番で運用するための考え方です。Google Cloud は MLOps を、MLシステム開発とMLシステム運用を統合するMLエンジニアリング文化・実践として説明しています。[2] 同資料は主に予測型の機械学習システムを対象としており、生成AIサービスではプロンプト、検索、評価など追加の管理対象も検討します。

通常のアプリケーションでは、主な変更対象はコードと設定です。しかし機械学習では、同じコードでも学習データが変わるとモデルの振る舞いが変わります。

MLOpsでは、次の要素をまとめて管理します。

  • 学習データと評価データ
  • 特徴量や前処理
  • モデルのバージョン
  • 評価指標としきい値
  • 本番推論の品質
  • 再学習と再デプロイの条件
graph TD
    A["データ収集"] --> B["前処理・特徴量"]
    B --> C["学習"]
    C --> D["評価"]
    D --> E["モデル登録"]
    E --> F["デプロイ"]
    F --> G["推論監視"]
    G --> A

AIOpsとは

AIOps は、Artificial Intelligence for IT Operations の略で、IT運用データをAIで分析し、異常検知、原因調査、アラート整理、対応支援に使う考え方です。IBM は AIOps を、AIを使ってITサービス管理と運用ワークフローを自動化・改善するものとして説明しています。[3]

AIOps の対象は、AIモデルそのものではなく、システム運用で発生する大量のデータです。

  • ログの異常パターンを検知する
  • メトリクスの急変から障害の兆候を見つける
  • 多数のアラートを関連づけて重複を減らす
  • インシデントの原因候補を提示する
  • 過去の対応履歴から次の調査手順を提案する

AIサービスではどう組み合わせるか

たとえば、生成AIを使った社内検索サービスを運用する場合、責任範囲は次のように整理できます。

領域適用する条件
DevOpsアプリケーションやインフラを継続的に変更するAPI、フロントエンド、認証、デプロイ、監視を安定させる
MLOps自社でモデルを学習・調整する、またはモデル版と評価を管理する学習データ、埋め込みモデル、モデル版、評価指標、推論品質を管理する
データ/検索運用文書や検索インデックスを更新する取り込み、分割、権限反映、再インデックス、検索品質を管理する
AIOps大量の運用データを人手だけで相関分析しにくいログやメトリクスから異常、遅延、障害原因の候補を見つける
この表は横方向にスクロールできます。キーボードでは、表にフォーカスして左右の矢印キーを使用してください。

再インデックスや検索品質は、モデル学習を伴わない限り、それだけで MLOps とは限りません。また、外部LLM APIを利用する場合も、プロンプト、モデル版、検索設定、評価データ、出力品質、コストの変更管理は必要です。どの名称を採用するかより、変更対象と担当者を明示することが重要です。

隣接する ModelOps との境界

ModelOps の定義は説明元によって異なります。SAS は分析モデルをデータサイエンスから本番へ継続的に移し、検証・監視する活動として説明しています。[4] 一方、IBM の製品資料は、ModelOps を従来型機械学習モデルのライフサイクル管理、MLOps をアプリケーションとモデルのパイプラインを同期する実践として区別しています。[5] 用語だけで責任範囲を決めず、対象モデル、学習の有無、検証、承認、監視、廃止までを具体的に確認します。

導入順序も一律ではありません。通常のWebアプリなら DevOps の改善が中心になり、自社モデルを継続的に更新するなら MLOps が重要になります。多数のシステムから大量の運用データが集まり、相関分析がボトルネックなら AIOps を検討します。

よくある混同

MLOpsとAIOpsは同じですか?

違います。MLOpsは機械学習モデルを作り、評価し、本番で運用するための考え方です。AIOpsは、IT運用で発生するログやメトリクスをAIで分析する考え方です。

AIアプリなら必ず本格的なMLOpsが必要ですか?

外部LLM APIを呼び出すだけで、自社でモデルを学習・再学習しない場合、学習パイプライン中心の MLOps は適合しないことがあります。ただし、プロンプト、モデル版、評価データ、ログ、品質、コストの管理は必要です。

AIOpsを入れれば運用担当は不要になりますか?

不要にはなりません。AIOpsは検知や原因調査を支援しますが、影響判断、復旧方針、顧客対応、再発防止は人間の運用判断が必要です。

まとめ

  • DevOps、MLOps、AIOps は対象の異なる運用規律で、固定された成熟段階ではない
  • DevOps はアプリケーション開発と運用、MLOps はモデル・データ・評価、AIOps はAIを利用したIT運用を主に扱う
  • 生成AIでは、モデル学習、外部API、検索、評価の境界を見て必要な管理を選ぶ
  • ModelOps と MLOps の境界は説明元によって異なるため、名称より責任範囲を確認する

参考文献

  1. AWS, What is DevOps?
  2. Google Cloud, MLOps: Continuous delivery and automation pipelines in machine learning, 2024年8月28日更新
  3. IBM, What is AIOps?
  4. Jeff Alford, SAS, ModelOps: How to operationalize the model life cycle
  5. IBM, Managing the AI Lifecycle with ModelOps, Cloud Pak for Data version 5.4.x
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