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リモートMCPとローカルMCP

MCPサーバーには2種類の「動き場所」があります。あなたのパソコンの中で動くローカルMCPと、インターネット上のサーバーで動くリモートMCPです。FigmaがリリースしたNative MCPを例に、その違いを初心者向けに解説します。

対象読者: MCPの基本概念(アーキテクチャ・ケイパビリティ)を理解している方

学習時間の目安: 読了 25分

前提知識: MCPのアーキテクチャMCPのケイパビリティ を読んでいること

まず「MCPサーバーはどこで動くか」という疑問から

Section titled “まず「MCPサーバーはどこで動くか」という疑問から”

MCPを学ぶと、こんな疑問が生まれます。

「MCPサーバーって、私のパソコンの中にあるの?それともFigmaのサーバーにあるの?」

この疑問の答えが、ローカルMCPリモートMCPの違いです。

MCPサーバーが動く場所によって、接続方法・セキュリティ・セットアップの手間がまったく異なります。

ローカルMCP:あなたのパソコンで動く

Section titled “ローカルMCP:あなたのパソコンで動く”

ローカルMCPは、あなたのパソコン(ローカル環境)上でMCPサーバーが起動する方式です。

AIアプリ(ホスト)とMCPサーバーは、同じパソコンの中で**標準入出力(stdio)**を通じて通信します。「標準入出力」とは、プログラム同士がテキストを受け渡しするための仕組みです。

あなたのパソコン
┌─────────────────────────────────────────┐
│  Claude Desktop(AIホスト)              │
│        ↕ stdio通信(プロセス間通信)      │
│  ファイルシステムMCPサーバー              │
│        ↕                               │
│  📁 あなたのファイル                     │
└─────────────────────────────────────────┘
インターネット接続:不要
MCPサーバー何ができるか
ファイルシステムMCPパソコン内のファイルを読み書きする
Git MCPローカルのGitリポジトリを操作する
SQLite MCPローカルのデータベースに問い合わせる
ブラウザ MCPローカルのブラウザを操作する
項目内容
動作場所あなたのパソコン
通信方式stdio(標準入出力)
インターネット不要
セキュリティ高い(外部に情報が出ない)
設定の手間やや高い(インストールが必要)
使い始めのハードル中〜高(コマンドライン操作が必要な場合も)

リモートMCP:インターネット上のサーバーで動く

Section titled “リモートMCP:インターネット上のサーバーで動く”

リモートMCPは、サービス提供者のサーバー上でMCPサーバーが動いている方式です。あなたのパソコンにインストールするものはなく、インターネット経由でAIアプリとMCPサーバーが通信します。

通信には HTTP + SSE(Server-Sent Events) が使われます。SSEとは、サーバーからクライアントにリアルタイムでデータを送り続けるための仕組みです。

あなたのパソコン                  インターネット上
┌─────────────────┐              ┌──────────────────────┐
│ Claude Desktop  │ ←─HTTP/SSE─→ │ Figma MCPサーバー     │
│(AIホスト)      │              │(Figmaが運営)        │
└─────────────────┘              │   ↕ OAuth認証         │
                                 │  📐 Figmaデータ        │
                                 └──────────────────────┘
インターネット接続:必要

FigmaのNative MCPで理解するリモートMCP

Section titled “FigmaのNative MCPで理解するリモートMCP”

2025年、FigmaはFigma Native MCPという公式のリモートMCPサーバーをリリースしました。これはリモートMCPの代表的な例です。

Figmaは、UIデザインツールです。デザイナーはFigmaでボタン・レイアウト・アイコンなどを作ります。

従来、AIがFigmaのデータを使いたい場合は、開発者が独自に「FigmaのAPIを呼び出す仕組み」を作る必要がありました。しかしFigma Native MCPの登場で、以下が可能になりました:

Claude DesktopなどのAIアプリが、URLを一つ設定するだけでFigmaのデータにアクセスできる

  1. Claude Desktopの設定画面でFigma MCPのURLを入力する
  2. FigmaのOAuth認証(ログイン)でアクセスを許可する
  3. これだけで完了!AIがFigmaのファイル・コンポーネントを読んだり、操作したりできる

あなたのパソコンに何かをインストールする必要はありません。

MCPのSkills(ケイパビリティ):Figmaを例にした現実の具体例

Section titled “MCPのSkills(ケイパビリティ):Figmaを例にした現実の具体例”

MCPサーバーが提供する機能をSkills(MCP用語では「ケイパビリティ」)と呼びます。3種類あります。それぞれをFigmaの例で具体的に見てみましょう。

Tools(ツール):AIが「実行」できる操作

Section titled “Tools(ツール):AIが「実行」できる操作”

ToolsはAIが呼び出して何かを実行する機能です。ファイルの作成・更新・削除など、実際に何かが変わる操作です。

Figmaの例

Tool名何が起きるか使い方の例
create_frameFigmaに新しいフレームが作成される「ログイン画面のフレームを作って」
update_node既存の要素(テキスト・色など)が変更される「このボタンの背景色を青に変えて」
set_variableデザイントークン(変数)を更新する「プライマリカラーを#3B82F6に変えて」

日常生活に例えると:「Toolsはロボットに『棚に物を置いて』と指示するようなもの。実際に物が動く(副作用がある)」

ポイント: Toolsは「何かをする」操作なので、実行前に確認画面が表示されることがあります。

Resources(リソース):AIが「読む」データ

Section titled “Resources(リソース):AIが「読む」データ”

Resourcesは読み取り専用のデータです。変更は伴いません。

Figmaの例

リソース取得できるもの使い方の例
Figmaファイル一覧自分のプロジェクト・ファイルの一覧「どんなプロジェクトがある?」
コンポーネント情報ボタン・カードなどのコンポーネント仕様「ボタンのデザイン仕様を教えて」
フレーム構造画面のレイアウト・階層情報「ログイン画面の構造を確認して」

日常生活に例えると:「Resourcesはロボットに『棚を見て』と指示するようなもの。物は動かない(副作用なし)」

ポイント: Resourcesは「情報を見るだけ」なので、Toolsより安全です。

Prompts(プロンプト):定型作業を「ワンクリック化」

Section titled “Prompts(プロンプト):定型作業を「ワンクリック化」”

Promptsは、よく使う質問・指示をテンプレートとして保存しておく機能です。

Figmaの例

Prompt名実行されること
design_review「このFigmaデザインをアクセシビリティの観点でレビューして」を自動実行
generate_component_spec「このコンポーネントの実装仕様書を生成して」を自動実行

日常生活に例えると:「Promptsは、よく注文するランチをお気に入り登録しておくようなもの。ワンタップで同じ指示が実行できる」

他のサービスでも見てみよう:リモートMCPの例

Section titled “他のサービスでも見てみよう:リモートMCPの例”

Figma以外にも多くのサービスがリモートMCPサーバーを提供しています。

サービスToolsの例Resourcesの例
GitHubcreate_issue(Issue作成), merge_pr(PRマージ)リポジトリ構造、ファイル内容
Slacksend_message(メッセージ送信), create_channel(チャンネル作成)チャンネル履歴、メンバー一覧
Notioncreate_page(ページ作成), update_block(ブロック更新)ドキュメント内容、データベース

ローカルとリモートの違いを一覧で比較

Section titled “ローカルとリモートの違いを一覧で比較”
比較項目ローカルMCPリモートMCP
どこで動くあなたのパソコンインターネット上のサーバー
通信方式stdioHTTP + SSE
インターネット不要
インストール不要
プライベートデータ向き✅(外に出ない)⚠️(サーバーに送信される)
常に最新状態❌(手動更新)✅(サービス側が管理)
代表例ファイルシステム、Git、SQLiteFigma、GitHub、Slack

ローカルMCPが向いているケース

  • パソコン内のファイルや非公開データにアクセスしたい
  • インターネットに接続できない環境で使いたい
  • 機密情報を外部サーバーに送りたくない

リモートMCPが向いているケース

  • FigmaやSlackなどWebサービスのデータにアクセスしたい
  • セットアップを簡単に済ませたい
  • 常に最新機能を使いたい(サービス提供者が更新してくれる)

両方を同時に使うこともできます。例えばClaude Desktopで「ファイルシステムMCP(ローカル)」と「Figma Native MCP(リモート)」を同時に設定すれば、ローカルファイルとFigmaデータの両方をAIが扱えます。

  • ローカルMCP: あなたのパソコン上で動き、stdioで通信。ファイルやローカルDBなどに向く
  • リモートMCP: インターネット上のサーバーで動き、HTTP+SSEで通信。WebサービスのAPIに向く
  • Figma Native MCP: リモートMCPの代表例。URLを設定してOAuth認証するだけで使える
  • Skills(Tools/Resources/Prompts): MCPサーバーが提供する機能の3分類。それぞれ「実行・読み取り・テンプレート」の役割がある

Q: Figma Native MCPを使うにはFigmaの有料プランが必要ですか?

A: Figmaのアカウントがあれば基本的な機能は利用できます。一部の高度な機能はプランによって異なる場合があります。最新情報はFigmaの公式ドキュメントを確認してください。

Q: ローカルMCPとリモートMCPを同時に使えますか?

A: はい、使えます。Claude Desktopの設定でローカルMCPサーバーとリモートMCPサーバーを同時に登録でき、AIは両方のリソースに同じ会話の中でアクセスできます。

Q: 自分でリモートMCPサーバーを作れますか?

A: 作れます。HTTP + SSEに対応したサーバーを実装し、MCPプロトコルに従えばリモートMCPサーバーとして動作します。ただし、ローカルMCPより実装が複雑です。Cloudflare WorkersやVercelなどのサービスでホストする例が公式ドキュメントで紹介されています。


このページへのリンク(英語): Remote MCP vs Local MCP