コンテンツにスキップ
X

クラウドコンピューティング入門

現代のウェブサービスのほとんどはクラウド上で動いています。「なぜVercelにデプロイするのか」「AWSとは何か」を理解することで、自分が作ったアプリを世界中に公開する方法が見えてきます。

対象読者: ウェブの基礎を学んでいる方、自分のサービスを公開したい方

学習時間の目安: 読了 15分

前提知識: サーバーとクライアント の概念を理解していること

クラウドコンピューティング(Cloud Computing)とは、サーバー・ストレージ・データベース・ネットワークなどのコンピューターリソースをインターネット経由で利用するサービスです。

「クラウド(雲)」という名前は、インターネットを図示するときに雲のマークで表していたことに由来します。物理的な場所を意識せずにリソースを利用できることを示しています。

オンプレミスとクラウドの違い

Section titled “オンプレミスとクラウドの違い”

クラウドが登場する前、ウェブサービスを運営するには自社でサーバーを購入・設置・管理する オンプレミス(On-Premises)方式が一般的でした。

比較項目オンプレミスクラウド
初期費用数百万〜数千万円基本的に0円(従量課金)
導入期間数週間〜数ヶ月数分〜数時間
スケール変更ハードウェア購入が必要ボタン1つで即座に変更
メンテナンス自社で実施プロバイダーが担当
障害への対応自社で対応プロバイダーが24時間対応

クラウドを使うことで、個人やスタートアップでも大規模なインフラを低コストで利用できるようになりました。

初期費用ゼロで始められる

サーバーを物理的に購入する必要がないため、アイデアを思いついたその日から開発・デプロイが可能です。使った分だけ費用が発生する従量課金モデルが一般的です。

スケーラビリティ

アクセスが急増しても、設定を変更するだけでサーバーの性能・台数を増やせます。逆に、アクセスが少ないときはリソースを減らしてコストを抑えられます。

世界中にデプロイ可能

主要クラウドプロバイダーは日本・アメリカ・ヨーロッパなど世界各地にデータセンターを持っています。ユーザーの近くのサーバーから配信することで、高速なレスポンスを実現できます。

クラウドサービスは提供する抽象化のレベルによって3種類に分類されます。

ピザの例えで整理するとわかりやすいです。

たとえ意味
オンプレミス小麦粉から全部自分で作るすべての管理を自社で行う
IaaS生地だけ買ってきて、具材と調理は自分インフラだけ借りて、OSから上は自分で管理
PaaS冷凍ピザを買ってオーブンで焼くプラットフォームを借りて、アプリだけ自分で作る
SaaSデリバリーで注文する出来上がったサービスをそのまま使う

仮想サーバー・ストレージ・ネットワークなどのインフラを提供するサービスです。OS・ミドルウェア・アプリケーションの設定は利用者が行います。

  • 例: AWS EC2Google Compute EngineAzure Virtual Machines
  • 向いている用途: 細かい設定が必要な本番環境・既存のシステム移行

アプリケーションを動かすためのプラットフォームを提供するサービスです。OS・ランタイム・デプロイの仕組みはプロバイダーが管理し、利用者はアプリのコードを書くことに集中できます。

  • 例: VercelNetlifyHerokuRailway
  • 向いている用途: ウェブアプリの開発・デプロイを手軽に行いたい場合

完成したソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスです。インストール不要で、ブラウザから利用できます。

  • 例: GmailSlackNotionFigmaGitHub
  • 向いている用途: 開発ツール・業務ツールとしての利用

主要クラウドプロバイダー一覧

Section titled “主要クラウドプロバイダー一覧”

大手クラウドプロバイダー(IaaS/PaaS)

Section titled “大手クラウドプロバイダー(IaaS/PaaS)”
プロバイダー特徴主なサービス
AWS(Amazon Web Services)最大のシェア。200以上のサービスが揃うEC2(VM)・S3(ストレージ)・RDS(DB)・Lambda(サーバーレス)
GCP(Google Cloud Platform)データ分析・AIに強みCompute Engine・BigQuery・Vertex AI
Azure(Microsoft Azure)Windowsとの親和性が高い。エンタープライズ向けAzure VM・Azure DevOps

エンジニア初心者が使いやすいサービス

Section titled “エンジニア初心者が使いやすいサービス”

大手クラウドはサービス数が多く、最初は設定が複雑に感じることがあります。以下のサービスはより手軽に使い始められます。

サービス種類特徴
VercelPaaSGitHubと連携してNext.js・静的サイトを数クリックでデプロイ。個人利用は無料枠あり
NetlifyPaaSVercel同様、フロントエンドのデプロイに特化。フォーム・認証機能も内蔵
SupabaseBaaSPostgreSQLをクラウドで提供。認証・リアルタイム機能・ストレージも含む
RailwayPaaSバックエンドアプリ・データベースのデプロイが簡単。Herokuの代替として人気
Cloudflare PagesPaaS静的サイトの配信に特化。世界中のエッジサーバーから超高速配信

初めてウェブアプリを公開する場合は、Vercel(フロントエンド)とSupabase(データベース)の組み合わせが多くのチュートリアルで採用されており、学習コストが低い選択肢です。

  • クラウド はインターネット経由でコンピューターリソースを提供するサービス
  • オンプレミスに比べて初期費用ゼロ・スケーラブル・世界中にデプロイ可能
  • IaaS(インフラ提供)・PaaS(プラットフォーム提供)・SaaS(ソフトウェア提供)の3種類がある
  • エンジニア入門者には Vercel・Netlify・Supabase などの使いやすいサービスから始めるのがおすすめ

Q: クラウドは費用がかかりますか?

A: 多くのサービスに無料枠(Free Tier)があります。Vercel・Netlify・Supabase・GitHub のいずれも個人の学習・小規模プロジェクトであれば無料の範囲内で利用できます。ただし、アクセス数・データ量・機能によっては有料プランが必要になります。

Q: AWSとVercelはどちらを選べばいいですか?

A: 用途が異なります。Vercel はフロントエンドのデプロイに特化しており、設定が簡単です。AWS はより多くのサービスを自分で組み合わせる必要がありますが、細かい制御が可能です。入門段階では Vercel から始め、必要に応じてAWSに移行するアプローチが一般的です。

Q: データはどこに保存されますか?

A: クラウドプロバイダーが運営するデータセンター(物理的なサーバー施設)に保存されます。リージョン(地域)を選択することで、日本のデータセンターに保存するよう指定できます。個人情報・機密データを扱う場合はデータの保存場所(リージョン)に注意が必要です。

ウェブの基礎を学んだあとは、実際に手を動かしてみましょう。

  • エンジニアリング入門 — ターミナル・Git・開発環境の構築
  • Vercel への実際のデプロイ手順(今後のページで解説予定)

このページへのリンク(英語): Introduction to Cloud Computing