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Apache ライセンス 2.0 - 実務での使い方ガイド

Apache License 2.0(アパッチ・ライセンス 2.0)とは、Apache Software Foundation が策定したオープンソースライセンスです。商用利用・改変・再配布を幅広く許可しつつ、特許ライセンス条項を含む点が特徴です。Android・Kubernetes・TensorFlow など多くのプロジェクトで採用されています。

対象読者: OSSライセンスの基本(著作権・利用条件の概念)を理解している方

学習時間の目安: 読了 15分

前提知識: MIT ライセンス を読んでいると理解が深まります

Apache License 2.0 は、MITライセンスと同様に商用利用に対して寛容です。ただし条件がより詳細で、特に以下の点が異なります。

項目Apache License 2.0MIT ライセンス
商用利用可能可能
改変・再配布可能可能
ソース公開義務なしなし
著作権表示の保持必須必須
変更箇所の明示必須不要
NOTICEファイルの引き継ぎ必須(元にある場合)なし
特許ライセンス付与ありなし
特許終了条項ありなし

著作権表示と LICENSE ファイルの扱い

Section titled “著作権表示と LICENSE ファイルの扱い”

再配布(GitHub公開・製品組み込みを問わず)する場合、配布物には必ず Apache License 2.0 の全文を含める必要があります。

  • プロジェクトのルートに LICENSE ファイルを置いてライセンス文を記載する
  • 元プロジェクトのソースコードに含まれる著作権表示(Copyright)は削除せず保持する

⚠️ 注意 著作権表示の削除は著作権侵害のリスクがあります。改変の有無にかかわらず保持してください。

元のソースコードを変更した場合は、変更した旨を明確に記載する必要があります。

  • 変更したファイルのコメントに「○○を変更した」などを追記する
  • または README や CHANGELOG で更新内容を記録する
// このファイルは Apache License 2.0 のオリジナルコードを改変しています。
// 変更内容: 〇〇の処理を △△ に修正 (2026-01-15)

元プロジェクトに NOTICE ファイルが含まれている場合、派生物にもその内容を引き継ぐ必要があります。

  • 派生物の NOTICE ファイル、ドキュメント、または表示画面のいずれかに NOTICE の内容を掲載する
  • 独自の帰属情報を追加することも可能

💡 ヒント NOTICE ファイルは情報提供目的の記載であり、ライセンス条項自体を変更するものではありません。ただし削除してはいけません。

Apache License 2.0 自体に「元リポジトリへのクレジット表記」を義務付ける条項はありません。ただし、元の著作権者名やプロジェクト名がソース上で明記されている場合は、それらを削除せずに保持することが必要です。

README や Web ページで元プロジェクトや著者を明示することは義務ではありませんが、オープンソース開発の慣行として推奨されます。

Apache License 2.0 の特徴のひとつは、派生物全体に Apache License 2.0 を再適用する義務がない点です。

  • 自分が新たに開発した部分には、別のライセンス(プロプライエタリを含む)を適用できる
  • ただし、元の Apache License 2.0 部分は引き続き Apache License 2.0 の下で配布しなければならない

GitHub でリポジトリを公開する際の対応手順は次の通りです。

  1. LICENSE ファイルを配置する: プロジェクトルートに Apache 2.0 の全文を LICENSE として配置し、GitHub のライセンス表示機能で認識させる

  2. ソースファイルにヘッダを追加する(推奨): 各ソースコードファイルの先頭に著作権表示とライセンス文を追記する

    Copyright [yyyy] [著作権者名または組織名]
    
    Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License");
    you may not use this file except in compliance with the License.
    You may obtain a copy of the License at
    
        https://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0
  3. NOTICE ファイルを引き継ぐ: 元プロジェクトに NOTICE がある場合はリポジトリに含め、必要に応じて自分の帰属情報を追加する

  4. README にライセンスを明記する: README.md にライセンス種別(Apache 2.0)を記載し、元プロジェクトの情報を説明する

商用プロダクトへの組み込み時の注意点

Section titled “商用プロダクトへの組み込み時の注意点”

Apache License 2.0 は商用利用を認めており、製品への組み込みや販売も可能です。商用利用で特に注意すべき点は次の通りです。

Apache 2.0 では、コントリビュータ(貢献者)がその貢献部分に関する特許使用権を利用者に付与します。これにより当該特許を侵害せずに使用できますが、利用者がコントリビュータを特許侵害で提訴した場合、特許使用許諾は終了します

商用製品に含まれる特許要素は社内で把握し、訴訟リスクに留意してください。

Apache License 2.0 は商標権の使用許可を含みません。元プロジェクト名(例:「Apache ○○」)やロゴを使用する場合は、別途権利者の許可が必要です。

Apache License 2.0 でも、ソフトウェアは「現状有姿(AS IS)」で提供されます。商用製品に組み込む場合でも、動作保証・サポートは自己責任で行う必要があります。

⚠️ 注意 バイナリ形式で顧客に配布する場合でも、ドキュメントや設定画面などにライセンスのコピーや著作権表示を明示してください。

  • LICENSE ファイルの配置: プロジェクトや製品に Apache License 2.0 の LICENSE ファイルを必ず含める
  • NOTICE の活用: 元プロジェクトの NOTICE を引き継ぎ、独自の帰属情報を追記する
  • README での明示: 使用ライセンスと元プロジェクトの情報を README に記載する
  • ライセンス互換性の確認: 複数の OSS を組み合わせる場合は、ライセンス間の互換性を確認する
  • 特許・商標の検討: 商用利用では特許侵害リスクを含めて製品設計を検討し、必要なら専門家に相談する

Q: MITライセンスと Apache License 2.0 はどちらを選べばよいですか? A: 自分でOSSを公開する場合、特許保護を重視するなら Apache License 2.0 を選択してください。シンプルさを重視するなら MIT ライセンスが一般的です。既存OSSを利用する場合は、そのOSSのライセンスに従います。

Q: Apache License 2.0 のコードを改変してクローズドソース(非公開)製品に使えますか? A: 使えます。ソースコードの公開義務はありません。ただし、再配布する場合はライセンス文の同梱・著作権表示の保持・変更箇所の明示が必要です。

Q: Apache License 2.0 と GPL は組み合わせられますか? A: GPL v3 とは互換性がありますが、GPL v2 との互換性については注意が必要です。複数ライセンスを組み合わせる場合は、各ライセンスの互換性を確認してください。